今回はお客様よりいただくよくある質問についてお答えしていきます。
「防水検査をしていただけるのに、浸水に関しては保証対象外というのは、どういう意味でしょうか? 」
たとえ防水性が高い時計であっても、また、防水検査でエラーがでていなくても、修理完了後に浸水する可能性はあります。
その理由は主に3つあります。
その1.経年劣化
私たち千年堂ではオーバーホール修理前、修理後に真空防水検査を行います。
(3気圧までの生活防水検査です。時計の種類によってはオプションで高気圧防水検査も可能です)
修理直後は生活防水が確保されていたとしても、ご使用するにあたり経年劣化が進み、またはご使用状況・環境によって防水が確保できなくなる場合があります。
その際に湿気の多い場所などに時計を置いておいた場合、浸水してしまうケースがあります。
時計は物である以上、経年劣化は避けられません。
できる限り水場や湿気の多い場所を避けるということが大切になります。
その2.防水範囲以上の水圧がかかった場合
防水検査は一般的に静止した状態で行われます。
動いている場合の防水検査を施してはいるわけではありません。
シャワーなど水圧が高い水がかかってしまった場合、
腕時計をつけて水の中を泳ぐ、風呂に入るなどを行った場合、
防水範囲以上の水圧がかかり、時計の中に水が入ってしまうことがあり得ます。
高気圧防水が施されているダイバー向けの時計であったとしても、高気圧防水はあくまで新品時の話であって、年数が経過するとともに防水機能が低下していきます。
定期的に防水検査をして、防水チェックをしているのでしたら信用できると思いますが、長らく防水検査を行っていない時計の防水機能はどうなっているかわからないと考えていた方が無難です。
長く時計を使用するためにも、定期メンテナンスによる防水チェックは必須ですし、極力高い水圧がかかるようなことを避けていただくことが重要となります。
その3.リューズ等の閉め忘れ、閉め漏れ
不適切なご使用によって浸水してしまうケースがあります。
特にリューズがしっかりと締まっていない状態のままにしますと、リューズ部分から時計内部に湿気が入り込み、不具合が生じる事例が多いです。
また、ねじ込み式リューズの場合、たとえ丁寧に扱っていたとしても、ねじ込み部のかみ合わせが摩耗することによりねじ込みが浅くなってきます。
その分、防水も低下してきますので注意が必要です。
以上の理由により、浸水というのは、たとえオーバーホール修理後、真空防水検査で防水確認したとしても、気をつけていないと起こりえます。
そのため浸水による故障は修理保証対象外とさせていただいております。
(私どもが知る限り、どの時計修理店であれ、メーカー修理であれ、浸水による故障は修理保証対象外となっております。)
浸水したとしても直後であれば、オーバーホールでなんとかなるケースが多いですが、時間が経つとサビが発生し、重故障となり、部品交換が多くなってしまいます。
(メーカー修理を勧めさせていただく場合もあります。)
ですから、時計を長くご愛用していただくためにも、汗・水・雨天等の水周りには特にお気を付けください。
私たち千年堂は、修理後のご使用方法に関してはいろいろあるのですが、特に浸水に関しては再三注意喚起をさせていただいております。
特に年数が経過している時計は注意して使用・保管をしてください。