「オーバーホールって本当に必要なの?」
「大切に扱っていればメンテなしでも長く使えるんじゃ…」
「時計が動かなくなってからオーバーホールに出すのは遅い?」
電池で動くクォーツ式時計と違い、ゼンマイで動く機械式時計は趣があり多くの時計愛好家に親しまれています。
一生モノの時計を買うならクォーツより機械式時計がいい。そんな声も多く聞こえてきます。
しかし時計が機械である以上、買って終わりではなくメンテナンスについても考えなければなりません。今日はそんな機械式時計のメンテナンス(オーバーホール)についてのお話です。
こんにちは。時計修理の千年堂の田中です。
私たち時計修理の千年堂には毎日多くのお客様から喜びのメッセージが届きます。
今日は、先日いただいたお便りの中からオーバーホールに関してのご質問がありましたのでそちらをご紹介します。
その回答とともに、私たち千年堂からお伝えしたいことを書きたいと思います。
それでは早速お便りをどうぞ。
時計のオーバーホールについてのご質問が届きました
お世話になりました。
時計が無事到着しました。
全体が綺麗になり装着感も新品のような感じで愛着が増しました。
修理をお願いしたオメガは、管理職になったときの自分への褒美として購入、以来15年間利用してました。
今後も大事に使いたいと思います。
ちなみに、今後はどの程度のインターバルでオーバーホールをすればいいのかお聞かせください。
今後も御社の発展を祈念しております。
大変嬉しいお便りです^^
とても愛着をもってオメガの腕時計をお使いになられているのが文章から伝わってきました。ぜひ一生モノの時計として長く使っていってほしいと思います!
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さてご質問のオーバーホールの時期についてお答えします。
結論から申し上げますと、オーバーホールの適切な時期やタイミングは3~5年程度です。
機械式時計に定期的なメンテナンスは必須
社会人になった時、昇進した時、30歳、40歳、50歳などの節目に高級時計を購入される方は非常に多くいらっしゃいます。
そこから10年、15年、20年と時が経ち、初めてオーバーホールや時計の修理に出される方もいらっしゃいます。
ご購入時に、オーバーホールの必要性、メンテナンスの必要性といった説明は受けていらっしゃると思うのですが、やはり時間と共に忘れてしまうのはどうしても仕方がないことだと思います。
使用される状況や環境、そしてムーブメントの種類や個体差もあって一概には言えないのですが、一般的に、機械式時計であれば3~5年程度でオーバーホールをするのが望ましいです。
15年20年と年数が経過している時計やアンティーク時計などは、その期間はより短くなります。
オーバーホールの期間は機械式時計に比べて長くなりますが、一般的に7~8年程度でメンテナンスをするのが望ましいと言えます。
オーバーホールは本当にやらないとダメなのか?
「オーバーホールは本当に必要ですか?」とご質問いただくことがたまにあります。確かに3~5年間隔でメンテナンスを行うのは時間的にもコスト的にも大変かと思います。
ただ、それでも私どもはオーバーホールは必要と考えています。
機械式時計・クォーツ時計に限らず、腕時計は多数の部品と連動しているわけですから、油が劣化したまま、部品の摩耗により金属粉がでている状態のままで時計の使用を続けると、摩耗や劣化がさらに進みやすくなります。
例えるなら自動車の車検のようなものです。新車の場合は3年、それ以降は2年毎に車検が義務付けられていますよね。
一方で時計は自動車のように法律でメンテナンスが定められていません。ですからどうしてもメンテナンスとなると、壊れてから、動かなくなってから、となりがちです。
ですが、時計は精密機械です。
機械である以上、定期的なメンテナンスは必須といえます。
ましてや、高級時計や大切な時計であればあるほど定期的にメンテナンスを行う必要があります。
たまたま運良く、15年20年とメンテナンスなしで時計が動くということはありえます。
ですが、時計はモノである以上、確実に部品は経年劣化が進んでいることでしょうし、その後の不具合も多くなりがちです。
ですので、大切な時計をお持ちの方は、定期的なメンテナンス・オーバーホールを忘れずに行っていただきたいと思います。